One year left -家族ごっこ-
「取れなかったね」


「もう一回」


碧くんが真剣に何かへ打ち込んでいる姿を、私は初めて目にする。


それがクレーンゲームだというのが、なんだか彼には酷く不釣り合いに思えて、小さく笑ってしまった。


けれど、回数を重ねるごとにアームの力は緩くなっていく。


フラミンゴの身体を撫でるだけで、掴むことすらしなくなっていった。


「碧くん、このクレーンゲーム取れなそうだよ。諦めよう?」


いくら費やしたのかが心配になり、そっと声をかける。


「確率が来るまでやれば取れるだろ」


「確率?いいよ、もう」


「あんたが可愛いって言ったから」


彼はそれ以上口を開かず、ガラスの向こうを凝視したまま、再びアームを動かした。
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