One year left -家族ごっこ-
今日まで、私は一度たりとも、誰かに泣き顔を見せたことなんてなかった。


涙は汚い。


涙はみっともない。


それは自分の罪や弱さを白々しく洗い流し、同情を乞うためだけの醜い逃げ水だ。


どんなに強くこらえていても、脳裏にはお母さんの笑顔が浮かぶ。


「お願い、同居したくないって、言わないで……」


喉が詰まって、みじめなほど掠れた声しか出ない。


その言葉を皮切りに、堰(せき)を切ったように大粒の涙が私の頬を伝った。


もうこのまま消えてしまいたい。


涙と一緒に、私の輪郭ごと全部。


ううん、違う。


そもそも、最初から私という存在がいなければ。


お母さんは今も、本当の幸せの中にいたはずなのに。
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