One year left -家族ごっこ-
数秒の張り詰めた沈黙のあと、はぁ、と碧くんが短くため息をついた。


「言わないから、安心しなよ」


私から、わずかに距離をとる。


「さっきも言ったけど、同居なんか二人の話だろ。俺はどっちでもいいからな」


吐き捨てられた言葉は、どこまでも無関心だった。


それなら、どうしてわざわざ私を試すような残酷な言い方をしたのだろう。


お母さんの幸せを守れたという安堵と、誰にも見せたことのなかった泣き顔を晒してしまった情けなさ、そして碧くんへの鋭い苛立ちがないまぜになって、喉元がひどく圧迫されて言葉が出てこない。


「俺は先に戻るけど、あんたもあとで戻ってきなよ。自分の部屋をもう少し見たいとでも言っといてやるから」


彼は私の心をこれほどまでに掻き乱しておきながら、自分には一切関係ないと言わんばかりの涼しい顔をしていた。


そのまま長い足で床を鳴らし、私を一人、このがらんとした真っ白な部屋に置き去りにした。


パタン、と静かにドアが閉まる。
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