One year left -家族ごっこ-
大っ嫌い。


心の中で激しく悪態をついて、私は無理やり冷たい呼吸を整えた。


碧くんが部屋を出ていってから、しばらくの時間が流れる。


窓からの明るい日差しに助けられながら、涙の痕を完全に掻き消した私は、ゆっくりと一階のリビングのドアを開けた。


「萩花ちゃん、遅かったね。部屋は気に入ってくれたかな」


おじさんが大らかに笑いかけてくれる。


「はい。すごく広くて綺麗で、ビックリしました」

 
私は完璧な笑顔を再び貼り付けて、嬉しそうに声を弾ませた。


視界の端に腰を下ろしているはずの碧くんのことは、一瞥すらしない。


そのあとは、私のあの涙は何だったのだろうと思うくらいに、同居の話が滑らかに進んでいく。


そうして後日、私たちの引っ越しはスムーズに完了した。
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