One year left -家族ごっこ-
確かに、私は普段からあまりラインを使わない。


でもそれは単にバイトが忙しかったからで、夕紗たちとも些細な雑談こそしないけれど、用事があれば普通にやり取りはしている。


それなのに、どうして碧くんがそんなことを周りに言っているのだろう。


意味がわからなくて、私は小さく首を傾げた。


「……実は俺、サイゼリヤで話した時に、萩花さんのこといいなって思ってて」


不意に真っ直ぐ見つめられて、突然の告白に私は目を丸くした。


「ライン送ろうかなって碧に話したら、姉さんはバイトが忙しくてライン嫌いだから送るなよって釘を刺されて」


「確かに忙しかったけど……嫌いではないよ?」


何でそんな嘘を言ったのだろう。


私は一度も、碧くんにそんなことを言った覚えはないのに。


「じゃあ、これからはラインしてもいいっすか!?」


悠生くんが期待を込めた目で身を乗り出してくる。


「いいけど……」


「バイトが忙しければ無視していいんで!」


「あ、バイトはもう辞めたんだ」


「辞めた!?いつ!?」


「十日くらい前かな?」


「えぇ。アイツそんな事、一言も……」


悠生くんが心底不満そうに、ハの字に眉を下げる。


そんな彼の様子を見ながら、私は「そっか、碧くんは私が静かに過ごせるように周りに気を使ってくれたんだろうな」と、心の中で納得していた。
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