One year left -家族ごっこ-
家に帰ったあと、私はそのまま眠ってしまった。


真っ暗な部屋の中、ふと目が覚める。


今、何時だろう……。


枕元のスマホの画面を点けると、デジタル時計はもう二十三時を回っていた。


完全に目が覚めてしまって、喉の渇きを潤すために静かに階段を降りる。


リビングのドアの隙間から、まだ薄明かりが漏れていた。


ドアをそっと開けると、ソファに寝転んでテレビを眺めている碧くんの姿があった。


「寝てた……」


「あぁ。おばさんが夕食で呼びに行ったら寝てるって言ってた。食べる?」


「ううん、もう夜遅いからいいや」


私はキッチンへ向かい、冷蔵庫を開けて冷えた麦茶をグラスに注ぐ。


「碧くんも飲む?」


「俺はいい。もう歯磨いたから」


「そっか」


冷たい麦茶を、一気に胃のなかへと流し込んだ。


ひんやりとした刺激が喉を通り抜けていく。


「今日、バーベキューしたんだって?」


グラスを置いた私に、碧くんがソファから声をかけてきた。


「どうして知ってるの?」


「悠生から聞いた」


「そうなんだ……」


昼間の悠生くんとのやり取りが脳裏をよぎり、なんだか気まずくなって、私は碧くんから視線を逸らした。
< 183 / 354 >

この作品をシェア

pagetop