One year left -家族ごっこ-

【隠し事】

春休みが終わり、私は高校三年生になった。


窓から差し込む春の柔らかな光と、進級したばかりのざわめきが満ちる教室。


「どう?同居のほうは」


休み時間、仲の良い夕紗(ゆうさ)が私の机に寄りかかり、話しかけてきた。


「んー、まだ慣れてないかな」


私は少し困った苦笑いで答える。


「例えば?」


「トイレだったり、お風呂だったり、やっぱり人の家だとソワソワしちゃう」


あはは、と彼女は大口を開けて快活に笑った。


「そうだろうね」


肩で跳ねるミディアムヘアを弾ませ、大きな猫目をいたずらっぽく細めながら、夕紗は無造作に前髪をかき上げた。
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