One year left -家族ごっこ-
「それで、イケメン弟は?」


ニヤっと笑みを浮かべる夕紗の言葉に、心臓がドクンと嫌な脈打ちをした。


「……なにが?」


無理やり声を平坦に保つ。


脳裏にあの最悪な初対面の記憶が蘇るのを、涼しい顔の裏に押し込めた。


「なにかドキドキすることあった?一緒に暮らしてるとさ」


「ないないない。なんにもない」


「えー、つまんない」


私の即答に夕紗が口を尖らせる。


同居が始まって一週間が経つけれど、碧くんとはいまだに家の中で目さえ合わせていない。


私はバイトで帰宅が夜遅くなるため、幸いなことに彼の顔を見る機会自体がほとんどなかった。


そうだ、……バイト。


昨日のおじさんとの会話を思い出した。
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