One year left -家族ごっこ-
翌日。


灼熱(しゃくねつ)の真夏の太陽が、車窓を焼き焦がすようにしてジリジリと照りつけている。


電車を何度も乗り継いで、四人で向かうのは、私の記憶の向こう側にある海。


ドアが開いた瞬間、もわっとした重い空気が肌をじっとりとなぞる。


ロータリーから、さらに路線バスに乗り換えた。


車内の冷房が、火照った肌を強引に冷ましていく心地よさのなか、ガタゴトと揺れる小刻みな振動に、ただ身を委ねていた。


やがて、窓の外に大きな白い風車がいくつも見えてくる。


ゆっくりと規則的に回る、三枚の羽根。


それらが青空の奥へ、吸い込まれるように佇んでいた。


「あ、海見えた!」


隣の席で、凛が弾んだ声を上げる。


楽しそうにそれに頷く岳くんの姿を、私はバスのシートに深く背を預けたまま、見つめていた。
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