One year left -家族ごっこ-
「なんで、顔、赤いの?」


低く、確信犯的な声。


至近距離で見つめる彼の瞳に、動転する私の姿が小さく映り込んでいる。


心臓の爆音が、碧くんにまで聞こえてしまいそうだった。


「暑いから!暑いから、もっと離れて」


必死の言い訳を口にした瞬間、すぐ近くで彼の唇の両端がわずかに吊り上がった。


優しさの欠片もない。


獲物を追い詰めた猛獣のような、酷く意地悪な笑み。


私が碧くんを意識していることを、すべて分かっていて弄(もてあそ)んでいた。


「もう。そういうの、やめてよ……」


一気に恥ずかしさが限界を迎えた。


私は両手で自分の顔を覆い隠し、彼の視線から逃げるように、固く目を瞑った。
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