One year left -家族ごっこ-
「あんたの反応が面白くて。悪かったな」


碧くんが私の髪を優しく撫でる。


指の隙間から不満げに睨むと、彼は悪びれることもなく穏やかに笑った。


それからしばらく二人で静かに海を見つめていた。


不意に、碧くんが立ち上がる。


「隣に岩場がある。あそこなら小さなカニとか取れるけど。行く?」


私の内側で、小さな火花がパチリと弾けたようだった。


「行きたい!」


私はタオルの上から跳ねるように立ち上がった。


彼の後ろについて、砂浜の端にある岩場へと歩き出す。


ぎらぎらとした高い太陽光の下、彼の背中が前を歩いている。


その身体は、広い砂浜の中でも誰よりも目を引くものだった。


すれ違う人たちの視線が、次々と碧くんに吸い寄せられていくのが分かった。


浜辺にいる年上のお姉さんたちも、同年代の女の子たちも、あからさまに頬を染めている。


みんなが彼に注目し、憧れを込めたような眼差しを向けていた。
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