One year left -家族ごっこ-
その瞬間、ハッとする。


あまりにも突発的なことだった。


自分の行動に、大層な理由なんてない。


ただ衝動的に、碧くんの肌を誰の目からも覆い隠したかった。


それだけだ。


やってしまった、と思って動けなくなる。


そんな私を、彼の視線がじっと捉えて離さない。


「なんで、掛けたの?」


どこか意地悪な笑みを浮かべて、碧くんが覗き込んできた。


「え、っと……。紫外線が……」


「紫外線が?」


「肌が、焼けるかと思って……」


「それで?」


「……タオルを、掛けたの」


完全にたじろぐ私を見て、彼が満足そうに片眉を持ち上げて笑った。


「暑かったから、ちょうど良かった」


その言葉は、私の嫉妬に気づきながら、それを丸ごと包み込んでくれているみたいだった。


本当に穏やかに、全部を受け止められてしまう。


私の心臓は、真夏の暑さとはまったく別の理由で、またしても大きく、うるさく跳ね上がっていた。
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