One year left -家族ごっこ-
楽しかった時間が、あっけなく終わろうとしていた。
私は立ち上がる直前、足元に落ちていた小さな、綺麗な桃色の貝殻を一つ、そっと拾い上げた。
今日という日の、あたたかな記憶を、どうしても形にして持ち帰りたい。
「それ、何?」
隣から覗き込んできた碧くんの瞳が、私の手のひらの上の小さな桃色を、じっと映している。
「貝殻だよ」
私が小さく答えると、彼は私の手元を見つめたまま、長い指先で肩に掛けたタオルの端を軽く弄(もてあそ)んだ。
「どうするの?」
「私の、お守りにする」
そう言って私が貝殻を握りしめると、彼はふっと上体をさらに低くして、私の顔を覗き込んできた。
驚くほど優しい碧くんの熱がふわっと肌を掠める。
「じゃあ、俺にもちょうだい」
「たくさん落ちてるから、碧くんが好きなのを選んだら?」
太陽光に灼かれ、鋭い金色の輝きを帯びた瞳が、まっすぐに私を捕らえた。
「萩花の拾った貝殻がほしい」
当然のことみたいに、彼はなんの迷いもなく私にねだる。
私のものなら、どんな小さな欠片でも手に入れたいと言われているようで、胸の奥がぎゅっと熱く鳴り響き、心臓が痛いくらいにドクドクと波打ち始めてしまう。
私はその熱から視線を逸らすようにして、再びゴツゴツとした岩場の砂溜まりへと目を向けた。
私は立ち上がる直前、足元に落ちていた小さな、綺麗な桃色の貝殻を一つ、そっと拾い上げた。
今日という日の、あたたかな記憶を、どうしても形にして持ち帰りたい。
「それ、何?」
隣から覗き込んできた碧くんの瞳が、私の手のひらの上の小さな桃色を、じっと映している。
「貝殻だよ」
私が小さく答えると、彼は私の手元を見つめたまま、長い指先で肩に掛けたタオルの端を軽く弄(もてあそ)んだ。
「どうするの?」
「私の、お守りにする」
そう言って私が貝殻を握りしめると、彼はふっと上体をさらに低くして、私の顔を覗き込んできた。
驚くほど優しい碧くんの熱がふわっと肌を掠める。
「じゃあ、俺にもちょうだい」
「たくさん落ちてるから、碧くんが好きなのを選んだら?」
太陽光に灼かれ、鋭い金色の輝きを帯びた瞳が、まっすぐに私を捕らえた。
「萩花の拾った貝殻がほしい」
当然のことみたいに、彼はなんの迷いもなく私にねだる。
私のものなら、どんな小さな欠片でも手に入れたいと言われているようで、胸の奥がぎゅっと熱く鳴り響き、心臓が痛いくらいにドクドクと波打ち始めてしまう。
私はその熱から視線を逸らすようにして、再びゴツゴツとした岩場の砂溜まりへと目を向けた。