One year left -家族ごっこ-

【体温】

おじさんの休日に合わせて、夏休みの思い出にと、私たちは家族四人で水族館へ出かけた。


自動ドアが開くと、冷気が肌を刺した。


真夏の屋外から一瞬で、ひんやりとした薄暗い世界に切り替わる。


視界の先には、横にどこまでも広がる巨大な水槽があった。


水槽のなかには、無数の魚がいた。


目の覚めるような黄色や、鮮やかな赤の小さな魚たちが、サンゴの隙間を忙しなくすり抜けていく。


手のひらにも満たない銀色の群れが、一斉に反転して眩しくきらめいた。


その色彩を縫うように、灰色の大きな鮫が、重々しく尾鰭を振って通り過ぎていく。


どれほど泳いでも、彼らは必ず同じガラスの壁で行き止まり、引き返した。


大小さまざまな命が、果てのない青に見せかけた、閉ざされた狭い世界のなかで、ひしめき合うように生きている。


私はその光景を、ずっと見つめていた。
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