One year left -家族ごっこ-
私たちは順路に沿って、ゆっくりと歩き出した。


通路の壁には、いくつもの小さな水槽が埋め込まれている。


暗闇のなかで、それだけが四角く青く浮かび上がっていた。


中を覗き込むと、細いリボンのような魚が、透明な水のなかで優雅に身をくねらせている。


その隣の水槽では、岩の隙間から、斑点模様の大きなウツボが鋭い顔を覗かせていた。


お母さんは楽しそうに声をあげ、ガラスを指差す。


おじさんが隣で、優しく相槌を打っていた。


私は二人の一歩後ろを遅れないように歩く。


足を進めるたびに、異なる青の陰影が、私の肌を代わる代わる染めていった。


目の前を、平らな身体をしたエイが、大きな翼を広げるようにして通り過ぎて行く。


ガラスの底では、無数の小さなエビが、細い脚を忙しなく動かして砂を掘っていた。


どこを向いても、色鮮やかな命がひしめいている。


けれどそのすべてが、分厚い透明な壁に守られ、閉じ込められていた。


冷房の風が、絶え間なく私の剥き出しの腕をなでていく。


鳥肌の立った肌は、もう感覚を失いかけていた。


歩くたびに、足元から冷気がじんわりと這い上がってくる。
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