One year left -家族ごっこ-
隣に座った碧くんの長い腕が、すぐに伸びてくる。


私の冷え切った身体を、腕の中へと丸ごと抱え込んだ。


そのまま重なり合う、互いの肌。


驚くほど優しい温かさだった。


彼の体温にそっと身をもたれかけさせて、静かに目を閉じる。


碧くんのなかに自分のすべてが頼りなく沈んでいく感覚。


頭のどこかで戸惑いが揺れていた。


だけどその戸惑いすらも、温かな光のなかでぼんやりと霞んでいく。


ただ、碧くんに包まれる。


その心地よい熱に、私の身体は深く委ねられていた。


指先へじんわりと温かな血液が戻ってくるのを感じる。


あんなに激しかった頭痛が、少しずつ、遠くへ消えていくような気がした。


私の手の中。


お母さんの、イヤリング。


それだけが、この温かなひだまりの中で、冷たく指先に触れていた。


真っ白な光を跳ね返して、なめらかな球体の輪郭が、静かにきらめいている。
< 227 / 354 >

この作品をシェア

pagetop