One year left -家族ごっこ-
「萩花は、一緒に行くわよね?」 


「私は……」 


唇が、自分の意思とは関係なく小さく震えた。 


行きたくない。


碧くんのいない、お母さんたち二人だけの旅行になんて、息が詰まって死んでしまう。


けれど、もし私がこの家に残れば、お盆休みの数日間、あのひとの元へと通う彼の気配を、この家でたった一人で耐え続けなければならない。


私の知らない碧くんの背中を想像するだけで、胸が引きちぎれそうになる。 


そんなの、今の私には絶対に無理だった。


「行く……」


喉の根元にへばりつく窒息しかけた苦しさを押し出すように、私は消え入るような声で呟いていた。
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