One year left -家族ごっこ-
「恥ずかしいの、胸。小さいから……」


喉の奥から絞り出した消え入りそうな声が、暗闇に情けなく溶けていく。


「そんな理由?」


彼は動きを止め、呆れた眼差しで私を上から見下ろした。


「そんなの、見なくても分かる」


「……どうして?」


「ダンスしてるとき、あんまり揺れないから」


その言葉に、頭の中が真っ白になる。


「そんなところまで見てたの……? 最低」


押し寄せる羞恥心とショックで、視界が一瞬で滲み、視界が歪みそうになる。


けれど、私は喉の奥で必死に涙を堪えた。


こぼれ落ちそうな弱さをぐっと押し殺すようにして、私はたまらなくなって、両手で自分の顔をきつく覆い隠した。


「怒ってるのか?」


「意地悪だよ。知ってても、言わなくていいことだってある」


顔を覆っていた私の両手首が優しく引かれ、碧くんの大きな片手のなかに捕らえられる。


「どうせ、今から全部見るのに?」


「見せないよ。見られたくないって、言ったでしょ」


一つにまとめられた両手首を必死に引き抜こうと、私は残った力でただ身をよじった。


胸の底から情けなさと怒りが一気にあふれ出して、涙の滲む瞳で彼を睨みつける。
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