One year left -家族ごっこ-
碧くんは視線を下へ向け、暗闇のなかで、わずかに手元を動かした。


微かな、薄い布地が擦れるような音が、二人の間の張り詰めた沈黙を小さく刻む。


私という存在を傷つけないための、彼のあまりにも切実なその準備を、私は潤んだ瞳でただ見つめることしかできなかった。


「もっと色々したいけど……、俺がもう我慢できない」


低く切なく告げられた言葉の余韻をかき消すように、夜空の向こうでひときわ大きな地鳴りが爆ぜる。


その刹那、彼の熱く硬いものが、私の中にゆっくりと、入り込んできた。


「……う、……っ、」


まだ先端が少しだけ割り込んできたに過ぎないというのに、そこから直接伝わる圧倒的な熱に、私の肉体はそれだけで激しく戦慄する。


「……痛い?」


「痛、い……」


経験したことのないあまりの大きさに恐怖すら覚えながら、私は涙の混じった低い息を吐き出すことしかできない。


「大丈夫。力、抜いてみな……」


彼は私の痛みを労わるように、少しずつ、少しずつ、確かめるようななめらかな往復をゆっくりと繰り返した。


その度に私は歯を食いしばり、漏れ出そうになるみっともない声を必死に押し殺す。
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