One year left -家族ごっこ-
取り残されたような暗闇のなかで、不意にお母さんの驚いた顔が、脳裏へと浮かび上がってきた。


おじさんがせっかく予定してくれていた温泉旅行を台無しにしてしまった。


お母さんは、私のわがままな行動に対して、どう思っているだろう。


罪悪感と怖さで身体をこわばらせ、心が凍りつきそうになった、その瞬間だった。


隣の碧くんが「うぅん……」と小さな鼻声を漏らして、布団のなかで寝返りを打つ。


それと同時に、大きな手が太ももの隙間へと深く滑り込んできた。


「っ……」


驚いて、彼の顔を見つめると、微かな寝息を立てたまま、目を閉じて眠っている。


恥ずかしさに息を詰まらせながら、その大きな手をそっとどけようとした。


けれど、まるで吸い付くような強い圧力のまま、私の力ではビクとも動いてはくれない。


あとほんの数ミリでも指先が動けば、私のいちばん恥ずかしい場所に触れてしまう。


張り詰めた緊張のなかで、碧くんの手のひらの熱が、じわり、じわりと、薄い皮膚をすり抜けて深く侵食し続けていた。


下腹の奥がぎゅっと切なくすぼまるようにして、また疼き始めてしまう。


直接触れられていないのに、彼の男らしい熱だけで、内側が蕩(とろ)かされていく。
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