One year left -家族ごっこ-
オレンジ色のビニールテントが内側の光でぽうっと優しく光るその屋台には、きらきらと輝く琥珀色のベッコウ飴がずらりと並んでいた。


「食いたい?」


私の視線に気づいた碧くんが、穏やかな声で聞いてくる。


「食べたい!」


私が声を弾ませて、子供のように真っ直ぐに彼の顔を見上げると、碧くんは一瞬だけ意外そうに瞳を見開いたあと、嬉しそうにふっと笑った。


彼は店主から出来立てのベッコウ飴をそっと受け取って、私の手に手渡してくれた。


薄い木の手持ち棒がついたベッコウ飴は、裸電球のオレンジ色の光を透かして、どこまでも綺麗に、きらきらと輝いている。


「昔、夏祭りでお父さんにベッコウ飴を買ってもらったんだ」


私の口から小さく溢れた言葉は、お父さんがいなくなる前、最後に買ってもらった、あの記憶のなかのベッコウ飴とまったく同じ、懐かしくて優しい色彩をしていた。


私はその温かいベッコウ飴の棒の端を指先でそっとつまむと、隣に立つ碧くんの綺麗な目元のすぐ近くへと、いたずらっぽく掲げるようにして近づけてみた。


私は心からの笑顔を彼に向ける。


「碧くんの目と、同じ色だね!」


不意を突かれた碧くんは、驚いたようにその綺麗な琥珀色の瞳を少しだけ丸くした。


けれど、次の瞬間には私の意図をすべて愛おしそうに受け止めるようにして、その目元を優しく緩めるのだった。
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