One year left -家族ごっこ-
お父さん、見てる?


高い高いと抱っこしてくれた、お父さん。


小さな私の手を繋いでくれた、お父さん。


優しい手で頭を撫でてくれた、お父さん。


そしてあの日、傷一つなく、血も流さないまま冷たく動かなくなってしまった、お父さん。


私にとってダンスを踊ることは、お父さんへ捧げるレクイエムのようなものなのだと思う。


「えっ、ちょっと待って!」


誰かの鋭い声が、私の思考を現実へと引き戻した。


突如上がったキャアという悲鳴に、はっとして振り返る。


「やばい!あの人、合月碧だよ!?」


「うそ、ダンス見られてた!?」


「ちょっと、萩花!」


三人が口々に騒ぎ立て、夕紗が私の肩をがっしりと掴んで揺さぶった。


……間違いない。


陽光を反射するシルバーの髪。


少し離れた場所からでも嫌というほど分かってしまう、端正すぎる顔立ち。


そして、周囲を威圧するような高い身長。


碧くんだ。


碧くんが、男友達数人と連れ立って、土手沿いをこちらに向かって歩いてきていた。
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