One year left -家族ごっこ-
差し出されたお土産のお菓子を、そっと指先でつまんで口に運ぶ。
上品な甘さが舌の上で解けていくけれど、その味わいはどこか遠く、まるで砂を噛んでいるかのように味気ない。
私は、お母さんの静かな視線の行方を、息を潜めて追い続けていた。
彼女はおじさんの話に可憐に相槌を打ちながらも、リビングボードの上に置かれたあの金魚鉢には、ただの一度も視線を向けようとはしなかった。
話が一区切りついたのを見計らい、お母さんはゆるやかに立ち上がる。
その据わった瞳が、ゆっくりと私だけを捉えた。
「萩花。これから夕食の買い物に行きたいんだけど、ついてきてくれるかしら」
お母さんの呼びかけに、私は静かに頷く。
「いいよ」
「おばさん、俺も行く」
隣にいた碧くんが何気ない調子で声を上げ、私の傍らへと歩み寄ってきた。
「荷物持ち、いるでしょ?」
けれど彼女は、完璧な笑みを崩さないまま、遮るようにして首を横に振る。
「いいえ、二人で大丈夫よ」
心配そうに私を見つめる碧くんの視線を、真っ直ぐに見つめ返した。
「ありがと」
彼に向かって、小さく微笑んでみせる。
上品な甘さが舌の上で解けていくけれど、その味わいはどこか遠く、まるで砂を噛んでいるかのように味気ない。
私は、お母さんの静かな視線の行方を、息を潜めて追い続けていた。
彼女はおじさんの話に可憐に相槌を打ちながらも、リビングボードの上に置かれたあの金魚鉢には、ただの一度も視線を向けようとはしなかった。
話が一区切りついたのを見計らい、お母さんはゆるやかに立ち上がる。
その据わった瞳が、ゆっくりと私だけを捉えた。
「萩花。これから夕食の買い物に行きたいんだけど、ついてきてくれるかしら」
お母さんの呼びかけに、私は静かに頷く。
「いいよ」
「おばさん、俺も行く」
隣にいた碧くんが何気ない調子で声を上げ、私の傍らへと歩み寄ってきた。
「荷物持ち、いるでしょ?」
けれど彼女は、完璧な笑みを崩さないまま、遮るようにして首を横に振る。
「いいえ、二人で大丈夫よ」
心配そうに私を見つめる碧くんの視線を、真っ直ぐに見つめ返した。
「ありがと」
彼に向かって、小さく微笑んでみせる。