One year left -家族ごっこ-
「碧くんのこと、好きにしていい……?」


彼の強固な鎖骨のあいだへ、私は自らの重みを預けるように顔を埋めた。


そのまま這い上がるようにして、彼の広い首筋に自らの冷たい舌を滑らせる。


「いいよ」


両腕をだらりと垂らしたまま、彼はただ私を救うような、ひどく柔らかな吐息を漏らした。


碧くんの、低くて太い喉仏。


そのたくましい肉の裡(うち)で、彼の脈動が不規則に大きく跳ねるのを、私の舌先が敏感に捉える。


私は彼の耳元へさらに顔を寄せ、掠れた吐息を吹きかけるようにして、低い声で囁いた。


「服、脱いで……」


彼は私の言葉に従って、素直に身につけていたシャツを脱ぎ捨てる。


衣服が床へと滑り落ちる一瞬の静寂のあと、薄暗い影のなかに、彼の頑強な上半身が露わになった。


陰影を深く宿した無骨な肩のラインから、なだらかな曲線を描いて広がる厚い胸板。


私は吸い寄せられるように、その硬い筋肉の境界をなぞりながら、小さな突起へと温度のない舌を這わせていく。


「……っ、」


彼の唇から、形にならない息遣いが漏れた。


それと同時に、私の腕を彼の大きな掌がすがるように強く掴む。


その身を硬く強張らせ、耐えるような肉体の反応が、彼の指先から伝わってきた。


皮膚を通して、彼の動揺と熱が激しい波のように私のなかへ流れ込んでくる。


私のすることに、彼が確かに反応している。


その事実だけが、今の私の渇いた心を満たしていった。
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