One year left -家族ごっこ-
私は彼のその強張りを気にも留めずに、もう一つの小さな突起を求めて、さらに深く舌を進めていった。


「……萩花」


熱を帯びた声で私の名を呼ぶと同時に、碧くんの大きな手が、私の唇を塞ぐようにして覆いかぶさってくる。


進路が彼の長い指先で遮られた。


私はその抵抗に見向きもせず、彼の手首をそっと押し退け、唇からずれたその長い指先をゆっくりと舐め上げる。


「……ストップ」


碧くんの唇から、彼の高い体温を宿した吐息が低く押し出されるように漏れた。


至近距離で彼を見上げ、うつろな瞳で問いかける。


「……どうして?」


見下ろしてくる碧くんの瞳は、冷静さを保とうとする意志が揺らぎ、未知の感覚に耐えるように細められていた。


彼の頬が、内側からあふれる熱でかすかに赤く染まっている。


小さく開かれた唇からは、乱れた呼吸を必死に整えようとする、熱く深い息が何度もこぼれ出ていた。


「もう、限界」


「……なにが?」


「くすぐったい」


「……だめ。碧くん、弱点ないって、言ったでしょ」


私は彼の胸元に自らの身体の重みを預け、逃げ場を奪うように距離を詰めると、まだ触れていなかったもう一つの小さな突起へと、容赦なく吸い付いた。


かつて彼が私の肌に施したのと同じように、優しく口内に含んで執拗に弄び続ける。


舌先から伝わる愛撫に合わせて、彼のたくましい胸板が、抑えきれない微かな慄(ふる)えを伴って上下に揺れていた。
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