One year left -家族ごっこ-
私は顔を伏せたまま、かすかな吐息に言葉を乗せて尋ねる。


「気持ちいい?」


「普通……」


「普通、なんだ」


「……うん」


「じゃあ、気持ちいいところ、探さなくちゃ」


「……俺、これ以上我慢させられるの?」


私は顔を上げ、彼の表情を覗き込んだ。


見下ろしてくる碧くんの瞳は、今にも千切れてしまいそうな理性を、ほんの僅かな自制心だけでかろうじて繋ぎ止めている。


その崩れゆく彼の表情をじっと見上げたまま、這わせる舌先を、さらに下方の硬い腹筋へと滑らせていった。


碧くんは浅い息を漏らし、かすかに眉を寄せて下唇を噛み、切なげに耐えながら私の目を真っ直ぐに見つめ返している。


私はソファから静かに体をずらし、冷たい床の上へと両膝をついた。


ただ彼の歪む顔を凝視しながら、冷たい舌先だけでその肌をさらに辿(たど)っていく。


自分が彼にどんな影響を与えられるのかを、ただこの目に焼き付けて知りたかった。


彫刻のように幾つもの四角い起伏に分かれたその筋肉の溝を、触覚だけで確かめるようにして、一つずつ丁寧になぞり、這わせていく。


その刺激に耐えかねたように、碧くんの大きな身体が、ソファの上で小さくのけぞった。
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