One year left -家族ごっこ-
電話を切ると、重苦しいため息が一気に漏れ出た。


鉛のように重い足取りで、さっき猛スピードで駆け抜けたばかりの道を、今度は引き返していく。


会いたくない。


できることなら、口もききたくもない。


だけど知られてしまった以上、もう逃げられない。


どうして今日に限って河川敷に行きたいなんて言ったんだろう。


自分の提案を死ぬほど後悔しながら、呪うような気持ちでペダルをこぎ続けた。


橋の下に碧くんが見える。


待っていた夕紗が、私に気づいて小走りで近づいてくる。


「突然いなくなったから、びっくりしたよ」


「テンパっちゃって……」


「合月くんたち、花見に来たらしい。運悪かったね」


彼はこちらを振り向くこともせず、男友達や希歩たちの輪の中心で、ただ退屈そうに佇んでいた。


戻ってきた私に気づいた隣の男の子が、「ほら、ねーちゃん戻ってきた」と碧くんの腕を肘でつつく。


「ふーん」


彼は視線さえ合わせないまま、素っ気ない声を漏らした。
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