One year left -家族ごっこ-
【光】
私が提出した進路希望調査用紙を受け、学校側から手渡されたのは、一枚の進路変更届だった。
その保護者同意欄に捺印(なついん)を貰うため、夕食後のリビングで、おじさんとお母さんの前にその書類を差し出した。
「おじさん。サインとハンコをお願いします」
新聞を読んでいたおじさんが、不思議そうに書類を覗き込む。
その隣にいたお母さんも、おじさんの手元へと視線を滑らせてきた。
そこに書かれた地元の企業名を見て、おじさんは驚いたように声を上げた。
「どうして急に就職希望先を変えたんだい?」
「やっぱり、私、この街に残りたくて」
嘘をつくことなく、はっきりと答えた。
「あら、そうなの。いいじゃない。ここの工場大きいし」
お母さんはおじさんの方へと顔を向け、優しい微笑みを浮かべる。
「そうか。萩花ちゃんがそう決めたなら、応援するよ」
おじさんは柔らかな表情でうなずき、引き出しから朱肉を取り出した。
碧くんと同じ苗字の刻まれたハンコを、私の未来の書類へと押し当てる。
静かに朱色の痕が残る。
翌日の放課後、その書類を進路指導室の先生へと手渡した。
受け取った書類を細かく確認した先生が、小さく頷いてそれを受理する。
これで、この街に残るための道が繋がった。
その保護者同意欄に捺印(なついん)を貰うため、夕食後のリビングで、おじさんとお母さんの前にその書類を差し出した。
「おじさん。サインとハンコをお願いします」
新聞を読んでいたおじさんが、不思議そうに書類を覗き込む。
その隣にいたお母さんも、おじさんの手元へと視線を滑らせてきた。
そこに書かれた地元の企業名を見て、おじさんは驚いたように声を上げた。
「どうして急に就職希望先を変えたんだい?」
「やっぱり、私、この街に残りたくて」
嘘をつくことなく、はっきりと答えた。
「あら、そうなの。いいじゃない。ここの工場大きいし」
お母さんはおじさんの方へと顔を向け、優しい微笑みを浮かべる。
「そうか。萩花ちゃんがそう決めたなら、応援するよ」
おじさんは柔らかな表情でうなずき、引き出しから朱肉を取り出した。
碧くんと同じ苗字の刻まれたハンコを、私の未来の書類へと押し当てる。
静かに朱色の痕が残る。
翌日の放課後、その書類を進路指導室の先生へと手渡した。
受け取った書類を細かく確認した先生が、小さく頷いてそれを受理する。
これで、この街に残るための道が繋がった。