One year left -家族ごっこ-
そうしてすぐに、文化祭のステージに向けた作戦会議を始めた。


「曲はね、夏休みの間に夕紗が編集してくれた、二曲目をリミックスしたやつにしない?ベースの音がすごく格好良くて、絶対にステージ映えするから」


凛がスマホの画面をタップして、スピーカーから小さく音源を流す。


教室の空間を裂くその重低音を肌に受け取った瞬間、私のなかのダンサーとしての本能が、はっきりと目を覚ました。


「振り付けは、スクールでやってるヒップホップの要素を基本にして、学校のステージ用に少しアレンジしようと思ってるんだ」


夕紗が弾んだ声を上げながら、手にしていたペンでノートの余白へと素早くその構成を書き留めていく。


「四人なら、前後を激しく入れ替える、立体的なフォーメーションが作れるね」


希歩がそのノートを私の正面へと引き寄せ、夕紗の書いた構成の上に、四つの丸が目まぐるしく位置を変える動線をその指先でなぞってみせた。


「今まではアンバランスな陣形だったんだよね。でも、萩花が加わってくれたことで、ほら、完璧なダイヤモンドの形に生まれ変わった」


ノートに描かれた四角形の陣形を見つめながら、夕紗は満足そうに、どこか誇らしげな笑みを浮かべた。


私の突然の宣言は、これから始まる新しい未来の熱い興奮へと、その色を変えていく。
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