One year left -家族ごっこ-
翌日、放課後のチャイムが鳴ると同時に、私たちは急いで河川敷の橋の下へと向かった。


夕暮れの広い空の下、夕紗のスマホを小さな三脚に立てて、何度も自分たちの踊りを動画に撮影した。


「萩花、そこのターンのあとの重心、もう少し低く落とせる?そのほうが、次の夕紗との交差が綺麗に見えるから」


希歩の的確な指示に、小さく頷いて、何度も足の運びを確かめる。


汗で額に張りつく髪を手首で拭いながら、ただ、自分の身体が奏でる生命の鼓動に没頭していた。


夕紗のダンスは、どこまでも軽やかで、見る者を惹きつける太陽の輝きを持っていた。


彼女の背中を追いかけ、その完璧な美しさを視界に捉えるたびに、私のなかの炎が、確実に燃え上がっていくのを感じていた。


文化祭にかける私たちの熱量は、放課後だけでは到底収まりきらなかった。


土曜日も日曜日も、朝から駅前の高架下にある、鏡張りの壁の前に集まった。


ラフなジャージに身を包み、夕紗のスマホから流れる重低音に合わせて、何度も、何度も身体を躍動させる。


コンクリートの床を踏み締めるたびに、スニーカーの底が確かな意志の重みを持って音を奏でていた。


「ここのサビのステップ、四人の腕の角度を完璧に揃えたい」


夕紗が前髪を掻き上げながら、真剣な顔で提案してくる。


その言葉に何度も頷き、鏡のなかの自分たちの残像を追いかけ続けた。
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