One year left -家族ごっこ-
大勢の視線に晒されたまま、彼の大きな胸のなかで完全に逃げ場を失い、あまりの恥ずかしさにその場に硬直してしまった。


「ちょっと、何やってんだよ碧!フラれた俺の前でイチャつくのやめろって!」


私の耳元へ、すぐ横から悠生くんの不満げな声が飛び込んでくる。


「オマエ……そんなキャラだっけ?」


続いて届いたのは、岳くんの呆れたように小さく苦笑する呟きだった。


そのやりとりに、凛は我慢しきれないといった様子で、キャハハと嬉しそうに笑い声を弾ませた。


凛の楽しげな響きに、ようやく満足したように、私の背中に回されていた大きな腕の力がゆっくりと緩められていく。


そうして、彼は堂々としたまま一歩後ろへと下がった。


私を解放した碧くんは、わずかに片眉を上げ、ふっと唇の端を吊り上げていつもの余裕たっぷりな笑みをその端正な顔に浮かべる。


周囲で見守る全員の視線を正面から受け止めたまま、彼は、満足げに、その低い声を私へと真っ直ぐに投げかけてきた。


「これで、もう悪い虫はつかないだろ」




超絶イケメンで有名な合月碧が、私の彼氏だと全校生徒に知れ渡ったのは、また別の話。
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