One year left -家族ごっこ-
「碧くんが買ってくれるの?」


「ああ」


「……ありがとう」


「当たり前だろ。お父さんは、萩花の命の恩人なんだからな」


胸の底にまで染み渡るような低い声と共に、頭を大きな手のひらで丸ごと包み込んで、ゆっくりと撫でおろした。


「……生きていてくれて、ありがとう」


そう言って、碧くんは初めて見る、切ないほどの愛おしさに胸を締め付けられたような、歪んだ微笑みを私に向けた。


視界が急速に涙の膜で遮られていくのを、喉の奥で必死に堪えながら、その透き通った瞳を見つめ、言葉にならない全ての想いを込めて、ただ一心に頷いた。


やがて綺麗にラッピングされた花束を手に店員さんが戻ってくると、彼がお会計を済ませ、手渡されたみずみずしい包みをその大きな腕で大事そうに収める。


そして、空いたもう片方の手で、私の手を当然のように優しく握りしめてくれた。


繋いだ手の温もりを分け合いながら、高台の霊園へと向かう路線バスのステップを二人で上っていった。
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