One year left -家族ごっこ-
碧くんは、私の隣へと一歩、足を踏み出して寄り添った。


「俺が一生をかけて、お父さんの分まで、萩花を愛します」


お墓を見つめる彼の横顔は、私のすべてを丸ごと引き受けるという、男の誓いそのものだった。


やがて、その琥珀色の瞳がこちらへと向けられる。


喉が熱くなるほどの愛おしさに胸を詰まらせる私に、彼は目元を和ませて、息を呑むほど優しい微笑みを返してくれた。


碧くんは丁寧な所作で手元のお線香に火をつけると、秋の澄んだ空気のなかに、独特の仄甘い香りが立ち上る。


そっと手を合わせ、ゆったりと広がる白い煙に包まれながら、おごそかで長い祈りを捧げた。


やがてゆっくりと目を開けると、隣に立つ碧くんが、私の手を自分の大きな手のひらで力強く握り返した。


どこまでも高いうららかな光のなかで、彼と繋いだ手の温もりだけが、驚くほど濃密に満ちていく。


「これからは毎年、二人でお父さんに会いに来よう」


碧くんが低く穏やかに紡いでくれたその言葉は、もう二度と解けることのない契約のように、私の胸の深くへと、消えない熱となって刻まれていった。


お参りを終えた私たちは、見慣れた日常へと戻る帰りの路線バスに、再び二人で揺られていた。
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