One year left -家族ごっこ-
いつのまにか曲は終わっていた。


切れた息を整えて、碧くんに近づく。


そして「約束は守ってね」と言った。


碧くんは聞いているのかいないのか、動かない。


「……行こう、みんな待ってる」


ハンドルに触れると、碧くんは「俺がこぐ」と言った。


「いいの?」


「どうせあんたこげないから」


「そうだったね」


キャリアに座ると、碧くんの身体のどこに掴まっていいのかわからず、制服のカーディガンの端を握る。


「それ、落ちるよ」


「うん」


しょうがないから、遠慮がちにお腹あたりに腕を回した。


スイスイと自転車が進む。


坂道の登りもなんのそのだ。
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