One year left -家族ごっこ-
食事会も終盤にさしかかり、私はさっきの反省から、それ以上は碧くんと目を合わさないよう細心の注意を払っていた。


ニコニコと笑顔を貼り付け、お母さんとおじさんの思い出話にじっと耳を傾ける。


お母さんの惣菜店に毎日のようにおじさんが買い物に来ていたこと。


それから少しずつ仲良くなって、穏やかな交際が始まったこと。


お母さんが惣菜店を閉店すると決めたとき、おじさんが優しくプロポーズしてくれたこと。


「本当に、運命だね」


心からの愛おしさを込めて、深く相槌をうつ。


お母さんは何でも話してくれていたから、その経緯はすべて知っていた。


おじさんがどれほど誠実で思いやりがあり、お母さんを大切にしてくれているかも、痛いほど分かっている。


女手一つで私を育て、長いあいだ苦労を重ねてきたお母さんが、やっとこの幸せを手に入れたのだ。


そのことが、自分のことのように本当に嬉しくて、胸が喜びで満たされていく。


お母さんには、ずっとずっと、笑っていてほしい。
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