One year left -家族ごっこ-
だけど、さっきまであんなに楽しそうにしていたお母さんの表情が、不意に陰った。


「……碧くんも萩花も、二人とも今、一番多感な時期でしょう?」


その言葉を合図にするように、おじさんも碧くんと私に向き直り、真剣な眼差しで言葉を続ける。


「これから急にひとつ屋根の下で暮らすとなると、お互いにストレスになってしまわないか、少し心配なんだ」


喉が冷たい氷を押し付けられたように鋭く締めつけられた。


嫌な予感が背筋を駆け抜ける。


「大丈夫です」


これ以上、お母さんの笑顔を曇らせたくなくて、私は自分の動揺を押し殺しながら思わず会話に割り込んでいた。


けれど、その必死な声を優しく遮るように、お母さんが私たちに向けて穏やかに語りかける。


「籍は入れるけれど、同居は二人が高校を卒業してからでもいいんじゃないかって、事前に話し合っていたのよ」


「だから、二人の率直な意見を聞かせてくれないかい?」


おじさんもまた、私たちの顔を窺(うかが)うような優しい口調で問いかけてくる。
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