One year left -家族ごっこ-
「えーと、今日、家に帰ってこないの?」 


『なんで?』 


「……心配なの。だから帰ってきてほしくて」 


何て言えばいいのか思いつかなくて、とっさにお母さんの気持ちになって答えた。 


『風の音が聴こえるんだけど。今、外?』


「外だよ」


冷え込んできた夜風のせいで、低く応じる私の顎は細かく震え、噛み合わせた歯が小さな音を立てそうだった。


『どこにいるの?』


重ねて聞かれて、初めて周囲を見回す。


お母さんの目を盗むことだけを考えて、適当に住宅街を歩いてきた。


「どこだろ」


『目印は?』


「あ、近くに公園がある」 


『近所の公園?』


「そう」


錆びかけた柵と、細い木々に囲まれただけの小さな公園だった。
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