One year left -家族ごっこ-
そして目の前の人物に、はっと息を呑んだ。


いつの間にか碧くんがそこに立っていたから。


「……ごめん、電話してて気づかなかった。早かったね。帰ってきてくれてありがとう」


何も言わない彼の、シルバーの髪が夜風をはらんで揺れた。


ぼんやりとした街灯の下、その端正な顔立ちには、はっきりとした影が落ちている。


自分より年下には到底思えないほどに、今の彼は、大人の男の人に見えた。


「……じゃあ、帰ろっか」


ベンチから立ち上がると、反対に碧くんが大きな身体を預けるようにそこに腰を下ろす。


「疲れた。ちょっと休む」


心なしか息が上がってるようだった。


もしかしたら、急いで来てくれたのかもしれない。


彼はカーディガンの両ポケットから缶コーヒーとミルクティーを取り出して、私に差し出した。
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