One year left -家族ごっこ-
「バイト、いつ辞めるの?」


「あと十日後かな」


「母親にはダンスのこと言った?」


「……まだだよ。隠し事って、やっぱり言いづらいね」


碧くんとこうして並んで普通に会話をしている。


それがなんだか、すごく不思議な感覚だった。


視線をスマホの画面に向けると、デジタル時計の数字はもう二十三時を過ぎていた。


「そろそろ帰ろう?」 


お母さんはもう寝ていると思うけれど、もしも私と碧くんの帰りが同時に遅くなったとバレたら、変に思われてしまうかもしれない。


残りのミルクティーを急いで飲み干すと、ベンチから立ち上がった。


「ごちそうさま」 


空になったボトルを握りしめ、早く帰ろうと促す。


だけど、隣の碧くんに立ち上がる気配はない。
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