One year left -家族ごっこ-
「……あんたの母親に頼まれて、俺に電話したんだ?」 


今度は彼が、ベンチから私を見上げてきた。


薄暗い街灯の光が、碧くんの綺麗な顔を照らし出す。


さっきのお母さんとの電話の内容を聞かれていたのだ。


それなら、下手な誤魔化しはしないほうがいい。


「頼まれてないよ。自分がしたくて行動しただけ。私たちが家にいるから碧くんが帰ってこれないのかもって、お母さんが心配しちゃって」


言葉の真意を測るように、彼は何も言わない。


ただ、そのはっきりとした二重瞼の下で、夜の闇に透けるような琥珀色の瞳が、真っ直ぐ私を捉えている。
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