One year left -家族ごっこ-
碧くんが何を考えているかなんて、私には分かり得ない。


分かりたいとも思わない。


興味もない。


ただ、お母さんを守ることができるのなら、もう何だって構わない。


家族という二文字が脳裏をよぎって、冷たく消えた。


時間の速度を忘れたかのように、ただ、彼の唇へと近づいていく。


触れるか触れないかの零(ぜろ)の狭間で、形の良いその輪郭を、自分の唇でそっとなぞった。


柔らかい下唇を軽く挟み込んでから、上唇へと歯を立てて甘噛みする。


すぐに深くは吸わない。


じらすように浅く、けれど確実に痕を残す強さで、その肉の柔らかさを確かめる。


何度も角度を変えて、それを交互に繰り返した。


不意に視線を感じて目を開けると、感情の読めない琥珀色の瞳とまっすぐに衝突する。


「……見ないでよ」 


ただ冷徹に観察されているようなのがひどく不愉快で、私は彼の綺麗な切れ長の目元を、手のひらで丸ごと覆い隠した。
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