One year left -家族ごっこ-
離れようとした時には、すでに身動きが取れなくなっていた。


後頭部の髪の中には、いつからか大きな手がしっかりと差し込まれていて、逃げる自由を奪っている。


さらに先ほどまで押さえ込んでいたはずの碧くんの片手が、私の両手首をひとつにまとめて強固に組み伏せていた。


振り払おうと力を込めても、その強靭な腕は微塵も動かない。


この絶望的な拘束の間にも、彼の舌は執拗にまとわりついて、私の口内で好き勝手に動き回る。


もうやめて、と必死に舌で押し戻そうとすれば、簡単にそれを吸われて、今度は碧くんの口内へと深く引きずり込まれた。


「――んんっ、」


情けない声が漏れる。


逃げようとすれば更に絡まりついて、解こうとすれば、より深く侵略される。


有無を言わせない彼のキスに翻弄されて、息を吸うタイミングすら分からなくなってきた。


熱い吐息が逆流して頭の中が真っ白になる。


苦しくて必死に顔を背けようしても、顎の角度すら支配されて、もうどうすることもできない。


私はただされるがままで、指一つ、動かす力すら入らなかった。
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