One year left -家族ごっこ-
体力は完全に奪われていた。


しばらくして解放された時には、碧くんの胸に倒れ込んでいた。


静寂の中で、二人の荒い呼吸だけが聞こえる。


私はふらつきながら、やっと彼から離れた。


「……私の、勝ちだよ」


捨て台詞を吐いて、口元をぬぐう。


こんなザマでも、勝ちは勝ちだ。


「早く帰ろう」 


「この状態で、帰れると思うか?」


碧くんはベンチに背をもたれたまま、隠すこともなくふんぞり返っている。


「……じゃあ、おさまったら帰ってきて」


帰り道、もつれる脚を必死に動かして足早に家へと戻った。


家の中は真っ暗で、しんと静まり返っている。


お母さんを起こさないよう極力物音を立てないで、急いでお風呂に駆け込んだ。


それからの記憶は曖昧で、どうやって寝たのかも覚えてない。


朝起きて、寝坊したことに気付く。
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