One year left -家族ごっこ-
今、碧くんはシャワーを浴びてる時間だ。


いつもなら、彼より先に洗面台を借りて身支度を済ませるけれど、今日は遭遇するのを避けて諦め、リビングへと入ることにした。


「萩花、おはよう」


キッチンから、笑顔で出迎えてくれたお母さんの姿に、胸の重みが静かに取り除かれる。


「おはよう」


柔らかな光が差し込む朝の部屋。


まるで、昨日の夜に起きた出来事がすべて嘘だったのではないかと錯覚してしまいそうだ。


遅く帰ってきたことも、何もバレていない。


テーブルの上に出来立ての朝食が並べられた。


「ありがとう。いただきます」


温かみのあるお味噌汁を口に含み、お腹のなかを穏やかに満たしていく。


たわいもない会話を交わしながらご飯を食べ終わる、ちょうどその頃だった。


カチャリ、とリビングのドアが開き、湯気の名残をまとった碧くんがやってきた。
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