One year left -家族ごっこ-
「なんで留年したの?って顔してる」


心の内を見透かされたようで、驚きに声が出なくなる。


本当にその理由を考えていたから、返す言葉が見つからなかった。


「出席日数が足りなくてさ」


「どうして、学校に来なかったんですか?」


「俺の家、母子家庭だから。バイトのほう重視しちゃって」


さらりと告げられた彼の言葉に、胸が切なく締めつけられる。


「……私も、母子家庭でした」


「過去形?」


机に片肘をつき、覗き込むように見つめてきた。


そこにあるのは、穏やかな茶色い瞳だった。


「つい最近、お母さんが再婚したので」


「良かったね」


彼は柔らかい笑みを浮かべた。


押しつけがましさのない、素直に胸へと染み込んでくるような肯定。


……誰かさんとは、大違いだ。
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