One year left -家族ごっこ-
「なに、俺のこと見てるの?」 


碧くんがこちらを見下ろしてきた。


心臓が小さく跳ね、私は慌てて視線を前方へ引き剥がした。


「ううん、なんでもない」 


初めて会った日は、大嫌いだと思った。


なのに、いつの間にか嫌悪感は消え失せていた。 


自動ドアをくぐり、コンビニの雑誌コーナーに並ぶ。

 
彼は棚に陳列された本をただ無関心に眺めていた。


「見たいもの、あった?」


「特にないけど」


「じゃあ、先に帰っててよ」 


小さな声で急かす。 


喧嘩するほど仲が悪いのも、お母さんを無駄に心配させる。


けれど、一緒に帰るほど仲が良くなるのも、お母さんに変な心配をさせてしまうと思ったのに。


「今日は、あんたを一人にしたくない」 


碧くんは棚の漫画本を手に取りながら言った。 
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