One year left -家族ごっこ-
私のことを、彼なりに心配してくれている。


その事実だけが残る。


それにしても、なぜ。


消えるなんて、凍てついた覚悟を口にしてしまったのか。


なぜ涙まで流したのか。


頭がうまく働かない。


彼の、どこか見透かしてくるような視線と、足元からじわりと満ちてくるような気配。


それに触れ続け、私は、私を制御できなくなっているのかもしれない。


「……今日、一緒に帰ってきた理由は何にする?」 


お母さんの顔がよぎり、声がわずかに低くなる。


「そこで偶然会った、とでも言えばいいんじゃない?」 


碧くんは本を棚に戻し、平然とした顔で自動ドアへと歩き出す。


「そっか」 


私はその広い背中を追う。 


また一つ、二人だけの秘密が、夜の闇に沈んでいく。
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