One year left -家族ごっこ-
「本当に、碧くんが私なんかと付き合うと思ってる?」


「思ってる」 


寸分の迷いもない、完璧な即答とともに、三人の声が綺麗に重なった。


「だって萩花、可愛いじゃん」


「モテるじゃん」


「ちょっと暗いけど、そこがミステリアスでいいじゃん」 


同じ表情をした彼女たちの顔が至近距離まで迫ってきて、その勢いの良さに、張り詰めていた肩の力がふっと抜けていく。


「ふふ。本当に、碧くんがからかって言っただけだよ」


思わず小さく笑い声を漏らしながら、まだ納得のいっていなさそうな彼女たちを完全に引かせるため、昨夜、彼から仕入れた情報を差し出すことにした。


「そういえば……、向こうから寄ってくる子には、一切興味ないって言ってたかも」


その瞬間、希歩と凛が顔を見合わせ、そのまま大袈裟にがっくりと崩れ落ちた。


「だからラインの返事こないのかー!」


「詰んだわ……」


「あーあ、残念だったね」 


夕紗が、哀れむように楽しげに笑う。


その後もあれやこれやと根気強く弁解を重ね、チャイムが鳴る頃には、ようやく三人の誤解を解くことに成功していた。
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