アングレカム-Angraecum Leonis-

第十話集え、ゲームセンター



 夏休みに入ったからと言っても夏休み期間中毎日ずっと何かしら予定があるのかと聞かれるとそうではないだろう。

 人によれば、バイトがあったり、課題をしたり、家族と出掛けたり……色んな予定があるかも知れない。

 だが、人によれば夏休みのほぼ毎日が何の予定の無い人物もいる。

 ……そう、りゅうのすけである……。

「あー、あー、暇だ。このゲームもクリアした。このゲームはクソゲー。このゲームは飽きた。……あー。やる事ねえ……」

 そんな時にひろあきが家へとやって来た。インターホンの音が家の中へ鳴り響き、それに気付いたりゅうのすけが外へ出る。

「んだよ。ひろあきかよ」

「りゅうくんこんにちは〜。これからゲーセン行くんだけどりゅうくん来ない?」

「……んー、あー、行くわ。」

 そう言いドアを閉めて、すぐに服を着替え、荷物を持ち再度ドアを開けりゅうのすけは出て来た。

「よっしゃ〜行こうか」

「どこのゲーセン?」

「駅前のとこ」

「あー、ViViね。おけ。」

 りゅうのすけの家から徒歩十五分程。駅が見えて来て、その近くにあるゲームセンターへとひろあきとりゅうのすけは入って行った。

 そのゲームセンターの中にはせいじとせいやの二人が鎮座していた。りゅうのすけ2人のところへと行き、近くにある自動販売機にて適当な飲み物を購入。

「お、せいじくんにせいやくん。やっほ」

「おう、りゅう」

「りゅうくん! レースゲームしよ!」

 せいじはりゅうのすけに近付き彼をレースゲームに誘う。

「うん、いいよ」

「おっしゃぁ! ほんなら俺もやんで! 負けへんでなぁ!」

 三人はレースゲームが置かれている場所へと移動し、各々コインを投入し、ゲームを起動させる。

 ひろあきはりゅうのすけの後ろからそれを見て誰が勝っても良いように全員の応援をしておく。

「みんながんばれ〜〜」

「よし、これだな」

 りゅうのすけはそう言い画面を操作してカートをセット。

「ふんふんふん〜〜」

 せいじはりゅうのすけと遊べる事が嬉しい様で楽しそうに鼻歌を歌う。

「オラオラァア! これで行ったらぁ! おっしゃあ!」

 せいやは力強くハンドルボタンを押し込む。
 そしてレースゲームをスタートさせる。三人が順位を競い合う中ひろあきは後ろから誰かに声を掛けられる。

 声をかけられたのはかずきとあきせだった。

「おっす、やっぱみんなここにいたか」

 流れる汗をハンドタオルで拭いながらかずきは、ペットボトルのお茶を飲む。

「ひろあき〜〜! やっぱお前がいると癒されるわ」

 ひろあき「おー、かずきにあきせ。やっぱ暇になったら大体ここに集うよな」

 ひろあきがそう笑いながら答えていると、あきせはそのまま自動販売機でジュースを一本購入。軽く飲み、それをカバンに直し、せいじ、りゅうのすけ、せいやのレースゲームを、ひろあきとかずきとそのまま観戦する。

「おぉ! せいや君が抜いた! さっきまでせいじ君が一位やったのに!」

 白熱するレースゲームにかずきも思わず熱くなる。

「オラオラ! このまま突っ走ったらぁ〜!」

 せいやが勢い良く走る背後から、りゅうのすけのカートが迫り、追い抜いて行く。

「おぉ! かと思いきやりゅう君が逆転!! こりゃおもろい勝負やな!」

 あきせはそう言いながら三人の勝負を観戦し楽しむ。

「すげえ!」

 そんなこんなで大盛り上がりのレースゲームもとうとう終着を迎えようとする。
 最後にせいじとせいやが競り合ってる中、後ろからりゅうのすけが追い抜きりゅうのすけの勝利でゲームは終わりを迎えた。

 周りから賞賛を受けながら、りゅうのすけはかずきへと絡みに行く。

「お? かずきくんじゃん!」

「おう、てか今気付いたってそんだけゲームに夢中だったのな」

「いやぁ、俺くらいになるとゲーム中にもかずきくんの気配感じてたけどね?」

「……気配感じるとか戦士かよ」

 あきせは苦笑しながら冷静にツッコミを入れる。

「でへへ、昨日のビデ通楽しかったね! かずきくん!」

 りゅうのすけは笑いながらかずきに絡む。

「してねぇし、した事ねぇよ!」

「何言ってるの?! ビデ通でいっぱいイチャイチャしたもんね! かずきくんがメッセージ残るのは嫌だって言うから通話でってなって、ビデ通して……これで何回目のビデ通だっけ?」

「妙にリアルなんだよ! 周りに誤解生むからやめてくれ!」

「……かずき……」

「あきせぇ〜〜?? こいつの言う事信じてんじゃねえよ!!」

「さてさて、次なんのゲームしよっか?」

「ひろあきナイス」

「ひろあきとの3人のビデ通も楽しかったよなぁ〜〜んー!!」

「よーし、ひろあき。エアホッケーしに行くぞ」

「お、オッケー。」

 その後各々はしたいゲームへと移動を始めた。エアホッケー、ダンスゲーム、音ゲー、スポーツゲーム……etc.
 誰がここに集まろうと声を掛けたわけでもなく、誰が集めたわけでもなく集まった皆は各々したいゲームをしたり、対戦系ゲームをして、十分に楽しんでいた。

 暇だったはずの今日はあっという間に夕方を迎え、各々帰りの時間を迎える。
 また集う約束をして、各々の家へと道路を歩く。

 りゅうのすけはひろあきと一緒に帰りながら凄く充実した顔をしている。
 その横顔を見ながらひろあきはホッとして、自分も楽しかったと思いながら帰宅路を行く。

 まだまだ夏休み。次はどこへ行こうか。
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