アングレカム-Angraecum Leonis-
第十三話夏の陽炎に揺れる、偶然の目撃
髪を靡かせ、世界を見下すように見る。
「ふぅ〜〜……まだ私の時代や……な……」
ひなは、そう言いながら夏の暑さから汗を流す。
「ひなちゃん! お待たせ!」
まきがそう言いながらひなと合流。ペットボトルの水を飲み、水分補給する。
「お? こらこら? こらこらこらこら? お? まきこ? まきまきこ? 私の名前は〜〜? ワンモア〜〜〜? お? ワンモア〜〜〜??」
「……い、石原さとみです……」
「そうでーす、石原さとみでぇ〜す。そして貴女は……」
「え、いや、あの。普通にまきですけど……」
「おぉ〜〜んんん??? まきこ〜〜?? まきまきこぉ〜〜? ほり? ほ〜り〜き〜??」
「……ハッ! わ、私は……堀北真希……!!」
「……オーイエス。そう貴女は堀北真希……そして私は石原さとみ……そして……美女2人が居る此処は……」
「……こ、此処は……?」
「公《おおやけの》・園《その》……やで……」
「……そんでひなちゃん。公園に呼び出して何の用なの?」
「まあ、ここで私の? ソロコンサートしてもええんやけど、さ?」
「いや、もうすでに蝉の大合唱が先に始まってるで」
ミンミンミンミーーン……ミンミンミンミンミンミンミーーン……!
「よし! この蝉の鳴き声の大合唱に勝てるほどの歌声を披露すればええんやな」
「いや、あのさとみさん。もう暑いんでショッピングモールでもどこでも良いからこの暑さ凌げるとこ移動しませんか……」
「ショッピングモール……いいね!」
ひなはまきに人差し指を指して、ウィンクする。
そのまま二人は公園からショッピングモールへと移動を開始。
そもそもなんでひなはまきを公園に呼び出したのか。そこからまた話が始まる。
「いやぁさ、公園って〜な〜んか、落ち着くやん? いつまでおってもタダやし」
「居るのはタダやけど、暑過ぎる……あ、ショッピングモール着いたらついでにアイス食べに行こうよ」
「アイス! ありあり!」
公園から少し離れた位置にあるショッピングモールに着くまでに徒歩で二十分はかかっていた。
中に入ると、途端にクーラーの涼しさが全身を冷やしてくれる。それだけではなく多くの店舗が立ち並び、数多くの人がイオンモールの中で買い物などを楽しんでいる様子が窺える。
涼しさを感じながら二人はそのままフードコートへと足を運ばせる。
流れ出ていた汗も数分後には止まり、アイスを食べる頃には若干寒さを感じていた。
アイスを食べ終え、少し運動をしようか、とまきが良いゲームセンターへ。
二人は寒さを紛らわせる為、エアホッケーやバスケットのスポーツ系のゲームを楽しんだ。
その後身体があったまって来たタイミングでリズムゲームやダンスゲームを楽しみ、二人でプリクラを撮る。
プリクラを撮り終え、その後女の子が使うような雑貨が売っている店へと入り適当な可愛らしい文房具やカバンやポーチなどを見て二人はその時間を楽しむ。
そして、午後六時頃フードコートにてポテトを食べながら女子トークに華を咲かせていると、遠目に見えるのは見覚えのある二人の男女だった。
「……ん? え、あれって……」
「ん? まきちゃん? どしたん?」
まきの一声にひなは後ろを振り返りひな自身もびっくりする。
「え……? あれってさくちゃんとりゅうくん?」
「やんなやんな! 私の目が悪いんかと思った」
「あの二人って付き合ってんの?」
「知らない知らない! でも意外な組み合わせかも……?」
「あ、りゅうくんが頭撫でた」
「いつも笑顔やけど、なんかいつもより笑顔な感じする」
「え、わかる! あ、そのまま楽しそうにどっか消えたな。……えー! ひなめっちゃ驚いたわ。」
「うちも! ……みうちゃんには言わん方がええかな?」
「んー、これは話ややこしくなりそうやしなぁ……。みうちゃん、りゅうくん好きやん? それにあの二人が付き合ってるって決まった話じゃないし」
「やんなぁ〜。いやぁ、でもなんかドキドキする〜」
「なんか見たらあかんもん見たって感じしてドキドキしたな」
「そんな感じそんな感じ! でも見られて困るんなら地元のイオンモール来んなよって話やけど」
「いや、それな?」
その後ひなとまきは、さくらとりゅうのすけの話を少し続けて時間が時間だったのでそろそろ帰ろうとの事となった。
この日見た事は二人の秘密、と言うことで解散。
まきとひなはそれぞれのモヤモヤの中、どうにかややこしい事にはならないようにとだけ願った。
…………ただ……この光景を見たのがこの二人だけだったら良かったのだが…………。