アングレカム-Angraecum Leonis-

第四話花火大会前日〈課題〉



 花火大会を迎えた今日の日の朝。ひなはそう言えばあまり手を付けていなかった夏休みの課題に手を伸ばしていた。

「いやぁ、盲点やがな。そういや最近遊んでばっかで夏休みの課題とかすっかり頭ん中から抜けてたわ。んー! 誰か一緒にやってくれる人居らんかなぁ……? とりあえずまきちゃんとまや姐さんに連絡入れてみようかのぅ……っと」

 そうして、ひなはまきとまやに連絡を入れ、一緒に宿題をしようと呼び掛けた。なんとも偶然ながら二人ともひな同様あまり手を付けていなかった様子。

 ひなに言われて思い出した二人は、即座にひなの家にて課題を持ち寄りある程度終わらせる運びとなった。

 そうして正午を過ぎた頃……。

「まきちゃん〜! まや姐さん〜! 来てくれてありがとう〜! ひな一人やと出来る気せえへんからめちゃくちゃ嬉しい!」

「当たり前やひなちゃん。困った時はお互い様やで。明日と明後日をより楽しむ為にもがんばろ!」

 まきが調子良さそうにニコニコと笑っている。

「まあ、私もそんなにやってへんかったから丁度良かっただけやねんけどな」

 まやは腕を組みながら苦笑する。

「まや姐さん……あんたもかい……。まあまあ、課題がゴッソリ残ってる夏休みなんか小学生までやからな。高校生のゴッソリ残ってる課題程怖いもんはないから。一緒にがんばりましょうや」

「いや、ほんまに。成績にも響くし、夏休み終わった途端にテストあるしなぁー……」

 まきは嫌そうな顔をしながら、持って来たジュースを啜り飲む。

「今日とはまた別日で、夏休み終わる前にも三人とか他のみんな誘ってもええし、集まって、勉強会でもしようよ」

「ありあり!」

「めっちゃええやん! それ!」

 まやの提案にまきとひなも乗っかる。

「とりあえず、二人ともひなの部屋行っといて〜。ちょっとお茶菓子の用意だけして来るから」

「えぇ、ひなちゃん! うちも手伝うよ!」

「なら、私がこのお菓子を持って行っておこう」

「いやいや、二人ともお客様やで!? ひなのおもてなし素直に受け止めて〜!」

 そんなこんなで三人でお茶とお菓子を用意し、ひなの部屋へ向かう。
 部屋に入り、勉強を始める前にまきが落ち着いて勉強を出来るようにとリラックス効果のある音楽を流す。

 ひなもまやもその曲を気に入り、その曲を流しながらの即興勉強会は始まったのである。

 昼過ぎから夕方になるまで三人はたまにトイレに行くくらいで一言も喋る事も無く、ある程度の課題を終わらせて行った。

「ふー、一旦休憩!」

 ひなは背伸びしながら休憩に入る。

「いやぁ、2時間くらいぶっ通しで集中してやったのにまだ結構残ってるもんやな」

 まやは課題の残りを見つめて絶望感に浸る。

「高校生の課題、恐るべし」

 まきも乗っかり、冷や汗を流す。

「まぁ、まだ夏休みも結構残ってるし? またひなん家とか、誰かの家とかで集まって、コツコツやったら終わるとは思うんやけどな……」

「こりゃ、コツコツとは言わず、定期的に集まる予定を立てて、夏休みの課題をみんな一緒にした方が良いのでは」

「そうね。一人より集中しやすい上に、まきちゃんのその音楽があればかなり効率的に課題終わりそう。私ん家でもいいし、またひなちゃん家でもいいしね。集まれる人の家に集まって課題会を開きましょ」

「せやなあ。明日明後日と花火大会って言う楽しみがあるけど、その楽しみを楽しんでるままやとあかんしな」

「そうそう。我々学生は学業をしっかりしないとね」

「やなぁ……テストも悪い成績残したら親に怒られるやろし」

「ひなもスマホ没収とかなったら死ぬ」

「うちはしばらく家でずっと勉強させられそう」

「……はぁ〜〜〜……」

 三人同時に出した深い溜息に、三人同時のシンクロを感じた三人はツボって笑いながらまた課題をやり始めた。

 ……早く終わらせないと夏休みもあっという間に終わってしまう……。
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